ブラジル政府は3日、米国通商代表部(USTR)が前日に公表した強制労働に関する調査結果を「一方的な保護主義」と断じ、相互主義法に基づく報復関税の発動を警告した。連邦政府の公式声明は、USTRが59カ国と欧州連合(EU)に対して、強制労働で生産された物品の輸入禁止が不十分だと指摘し、12.5%の追加関税を提案した措置に深い反対を表明した。ブラジルはこの判断を「労働者の尊厳を守るという重要な課題を商業的手段に悪用したものだ」と批判し、国際貿易ルールに基づかない不当な行為と位置づけた。
相互主義法の詳細——報復のメカニズム
声明で特に強調されたのは、2023年に議会で全会一致で可決された相互主義法の存在だ。この法律は、外国政府がブラジルに対して不当な制裁や障壁を課した場合、同国が同等の制限や関税で対抗することを認める。政府は「国家経済、雇用、国民の所得への損害を最小限に抑えるため、あらゆる手段を講じる」と宣言したものの、具体的な報復対象となる製品やセクターには言及しなかった。報復の規模は米国の措置の深刻度に応じて調整されるとし、ブラジルの競争力を人権侵害と同一視した点を「馬鹿げている」と一蹴した。
技術的・法的な反論——国際機関の評価を盾に
政治的な拒否に加え、ブラジルは国際労働機関(ILO)から長年にわたり強制労働撲滅の世界的模範として認められてきた事実を挙げ、自国の制度を擁護した。連邦税務当局や税関は既に、強制労働で生産された外国製品を没収する法的権限を持っており、米国の調査過程でもブラジル側は詳細な説明を提出していた。声明は「ブラジルの法体系は輸入品に対する厳格な審査を可能にしており、USTRの結論は事実に基づいていない」と訴えた。
貿易協定と協力の枠組み——対話の道も模索
ブラジル政府は、メルコスールを通じてチリやEU、欧州自由貿易連合(EFTA)と締結した自由貿易協定に、強制労働撤廃の厳格な約束が含まれていると指摘。連邦労働雇用省は、米国労働省との歴史的な協力を継続する用意があると述べた。一方、外務省では、外交官らが「米国に関税を課されないよう説得するため、両国間の合意形成を目指す」方針だという。上院外交委員会のネルシーニョ・トラッド委員長は相互主義法を「正当な手段」と認めつつも、緊張を高めないよう「責任ある対応」を求めた。
今回の米国の追加関税提案はまだ実施されていないが、ブラジルは既に、PIXや知的財産権、エタノール分野でのUSTRの勧告にも相互主義法を適用する可能性に言及している。専門家は、関税の応酬が両国の戦略的セクターに打撃を与えかねないと警戒する。水面下では、全面対決を回避すべく外交交渉が続いており、ブラジルは主権と強制労働対策の実績を守る姿勢を崩していない。
