Instagramの有料サブスクリプション「Instagram Plus」が、2026年6月4日からブラジルで月額10レアルで正式に提供を開始した。この新サービスは、通常の無料版では利用できない多数の限定機能を備えている。最も注目されるのは、ストーリーの公開期間が現行の24時間から48時間へと倍増する点だ。Meta(旧Facebook)は、広告収入に偏った収益構造を多様化するため、課金モデルを本格的に推進し始めた。
ストーリーの配信優遇と長期保存機能
購読者は、自身のストーリーがフォロワーのフィードで優先的に表示されるという恩恵を受ける。これにより、投稿の視認性が大幅に向上し、より多くのユーザーの目に触れる機会が増える。加えて、ストーリーを48時間まで公開できる機能は、従来の24時間では不十分だと感じていたユーザーにとって朗報だ。さらに、既存の「親しい友達」リストを拡張した形で、視聴者をグループごとに細かく指定できるリスト作成機能も搭載されている。この「オーディエンスリスト」を使えば、各ストーリーを特定の集団だけに届けることが可能になる。
匿名プレビューと視聴者検索の新機能
Instagram Plusには、ストーリーを匿名で事前に確認できるプレビュー機能も含まれている。この機能を利用すれば、誰が閲覧したかを投稿者に知られることなく、コンテンツをチェックできる。また、ストーリーの視聴者一覧内で特定のユーザーを素早く検索するツールも提供される。これらの機能は、ユーザーが自分のコンテンツの露出をより精密に管理したいという需要に応えたものだ。
プロフィールのカスタマイズと非公開投稿オプション
ストーリー関連の機能に加えて、Instagram Plusはプロフィールのカスタマイズ範囲を拡大する。購読者は、アプリのアイコンをMetaが用意したバリエーションの中から自由に選択できるようになる。プロフィールの自己紹介文には、専用のフォントを適用することも可能だ。さらに、プロフィールに固定表示できる投稿の上限が、従来の3件から6件へと倍増した。特筆すべきは、投稿をフィードやストーリーに表示せず、プロフィールやハイライトに直接追加できる「ステルス投稿」機能である。これにより、ユーザーは自分のタイムラインを気にせずにコンテンツを公開できる。
WhatsAppとFacebookへの有料版拡大計画
Instagram Plusの立ち上げは、Metaが進める全社的な課金戦略の一環に過ぎない。同社は近い将来、WhatsAppとFacebookの有料版も相次いでリリースする計画だ。メッセージアプリの有料版では、カスタマイズオプションやプレミアムステッカー、カスタム着信音などの新機能が追加される見通しである。Metaのプロダクトディレクター、ナオミ・グレイト氏は5月下旬にこの計画を公表し、将来的には「Meta One」という統一プラットフォームで全サブスクリプションを管理できるようにする意向を示した。
欧州での前例とAI投資による収益化圧力
Metaはすでに2023年、欧州連合の厳格なデータ保護規制に対応する形で、FacebookとInstagramの広告なし有料版を導入している。今回ブラジルを含む新興市場に同様のモデルを拡大するのは、広告収入への依存度を下げるという経営判断に基づく。その背景には、急膨張するAI関連投資への資金調達圧力がある。同社はデータセンターなどAIインフラに1250億〜1450億ドル(約6300億〜7300億レアル)を投じる計画で、投資家からは収益性の改善を強く求められている。Instagram Plusのような課金サービスは、こうした巨額投資を賄うための新たな収益源として位置づけられている。
