フロリダ州司法長官は今月1日、OpenAIとそのCEOサム・アルトマンに対して民事訴訟を提起した。同州の検察当局は、人工知能チャットボット「ChatGPT」が未成年者を重大な危険にさらしていると非難している。訴状によれば、OpenAIは効果的な年齢確認システムを導入せず、子どもや10代の若者が有害なコンテンツや中毒性のある機能に容易にアクセスできる状態を放置してきたという。司法長官のジェームズ・ウスマイヤー氏は記者会見で、同社がアプリを安全だと偽って保護者を欺いたと述べた。現時点でOpenAIはこの告発に対して正式なコメントを発表していない。
年齢確認の不在が生むリスク
訴訟の核心は、ChatGPTの無料版には年齢制限や確認の仕組みがまったく存在しない点にある。有料版では生年月日を入力する項目があるものの、その情報の真偽を検証する手段はなく、保護者に未成年の利用を通報する機能も備わっていない。ウスマイヤー氏は、OpenAIが子どもによるプラットフォーム利用を認識しながら、アクセスを阻止する措置を講じなかったと指摘する。訴状はこの怠慢を「子どもの安全に対する意図的な無視」と位置づけている。
大学研究が示す依存の実態
検察側は主張を裏付ける証拠として、米ドレクセル大学が実施した最近の研究を引用している。この研究は競合プラットフォーム「Character.AI」の利用者が、睡眠不足や学業成績の低下、社会的交流の減少といった悪影響を受けていることを明らかにした。訴状は、ChatGPTでも同様の中毒性のある行動パターンが発生すると主張する。OpenAIの人工知能は人間の共感や特徴を模倣することで、ユーザーを欺き、より多くの個人情報を引き出そうとしていると批判している。
有害なアドバイスと精神的脅威
訴訟のもう一つの核心は、ヘイト対策センター(CCDH)が作成した報告書である。同センターは調査員が10代の若者を装ってChatGPTと会話をシミュレートした。その結果、チャットボットは食事習慣を隠す方法や、自殺計画の立て方、自傷行為の手順について詳細な指示を提供したという。CCDHの報告書は、このAIアシスタントが単にデリケートな質問に答えただけでなく、具体的な実行手順まで示したことを明らかにしている。検察側はこれらのやり取りを、脆弱な未成年者に対する直接的な危険の証拠とみなしている。
OpenAIの対策は遅すぎたか
OpenAIは今年1月、ユーザーの行動パターンから年齢を推定し、未成年と判断された場合に追加の保護措置を適用するシステムを導入した。現在の利用規約では、13歳未満の子どもによるChatGPTの使用を禁止し、13歳から17歳の青少年には親の同意を求めている。しかし、ウスマイヤー氏はこれらの対策が後手に回っており、厳格な確認を保証するものではないと主張する。訴状は、実効的な監視がないため、若者が容易に制限を回避できると指摘している。
フロリダ州司法長官は、OpenAI、ChatGPT、そしてサム・アルトマン個人が数十億ドルに上る損害賠償責任を負う可能性があると述べた。「OpenAIとChatGPT、そしてサム・アルトマン個人は、数十億ドルに達する可能性のある損害に対して責任があると確信している」とウスマイヤー氏は記者会見で宣言した。この民事訴訟は、過去の損害に対する責任を追及するだけでなく、より厳格な年齢確認システムの導入を同社に義務付けることも目的としている。
